「ユーゴスラヴィア連邦解体戦争・年表・コラム」
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前 説
古代から抗争や戦争は絶え間なく続いてきた。現在もそれは変わることがない。
戦争は人類のみが編み出した絶対悪だとの認識は共有できているように思われるが、現状はこれと異なる。
第2次大戦後においても大国が絡む戦争は、朝鮮戦争、ベトナム戦争、ロシアのアフガニスタン侵攻、湾岸戦争、ユーゴスラヴィア連邦解体戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争、そして直近のロシアによるウクライナへの侵略戦争が挙げられる。
ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻した行為は、NATOの脅威に悩まされ続けてきたとしても、許容できない愚行である。ロシアのこの侵略戦争は
NATOとロシアとの代理戦争の性格を持ち、その淵源をたどっていくとユーゴ連邦解体戦争に行き着く。
1990年代のユーゴ連邦解体戦争は、記憶の彼方に遠ざけられてしまっているが、ユーゴ連邦解体戦争は、NATO諸国と中・ロとの対立をもたらした。
例示すると、このときロシアはユーゴ連邦へのNATOの武力攻撃を回避するために和平交渉に奔走したが、体制転換で弱体化していたロシアの意向は無視され、NATOはユーゴスラヴィアへの空爆を選択した。これを見たロシアはNATOが仮想敵国になりうるとして、軍備体制の再編へと向かった。
さらに、この空爆の際、NATOは駐ベオグラード中国大使館にもミサイルを撃ち込んだ。もちろん、これは誤爆ではない。このミサイル攻撃は、中国がユーゴスラヴィアへの好意的態度をとったための懲罰敵行為だったのである。これが中国の安全保障関係者に深甚な影響を与え、中国も軍備再編へと転換した。
クリントン米大統領は選挙戦でウクライナをNATOに組み入れると公約し、ブッシュ米大統領は2008年のNATO首脳会議で、ウクライナとグルジアを
NATOに加盟させる提案をして中・ロを刺激した。そして、米国が関与した2014年のウクライナ政変では、親露派政権を親NATO政権へと転換させた。ロシアはウクライナに
NATOの軍事基地が設置されれば、クリミア半島のロシアの軍港が排除される分析し、それを回避するためにロシア人住民が多数であることを利
用して住民投票を行なわせ、強制併合した。
ロシアのウクライナ侵攻は蛮行である。ただし、この戦争の本質はNATOとロシアの代理戦争なのである。NATOを主導しているのは米・英である。この両者がウクライナを唆してロシアを戦争に引きずり込んだ。そのため破壊と殺戮が続いている。安全保障関係者にこの奇跡の地球を委ねていると破滅的な「終末戦争」に至る。これを回避するには、すべて人が対立を解消するために声を上げることではないか。
軍事同盟が世界にどのような影響をもたらすのかについて、私たち市民グループはユーゴ連邦解体戦争の経緯を年表とコラムで明らかにしようと意図した。その成果
をこのユーゴスラヴィア連邦解体戦争の年表とコラムに託した。この試みは、微力であれ世界を平和に向かわせるために意味を持つと考えている。
2022年
作成;市民グループ・ユーゴネット